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国際学部

Faculty of International Studies

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国際学部ニュース詳細

更新日:2024年11月28日

学生の活動

【国際学部】学生広報委員による先生インタビュー⑥ ~上田先生編~

皆さんこんにちは。学生広報委員の宮地理子です。

国際学部の先生方に「20代前半は何をし、何を考えていたのか」インタビューする企画の第6回は上田美和先生(日本近現代史)にインタビューしました。

 

 

Q1. 大学時代は何を学んでいましたか?その分野を専攻にしたきっかけはありますか?


 もともと社会や英語が好きでそれに関係する学部に入りたいと思い、早稲田大学政治経済学部に進学しました。所属した政治学科では、社会科学を幅広く学んだほか、一般教養の授業では哲学や歴史を学修しました。最終的に政治思想史を専攻しましたが、一般教養で学んだ哲学や歴史への関心が繋がっていたと思います。
 政治思想史のゼミでは、ジャーナリストで政治家の石橋湛山という人物を卒論のテーマにしました。大学1,2年の時に帰り道の書店で『石橋湛山評論集』(1984年、岩波文庫)が目に入り、買って読んだところとても共感し、研究したいと思うようになりました。石橋湛山は明治、大正、昭和時代を生きた人物ですが、かけ離れた時代の人でも自分とこんなに考えが合う人がいるのかと衝撃を受けました。例えば、「人は、立派な他者からよい生活を与えられたとしても、決して満足することはできない」「たとえうまくいかなかったとしても、自分自身で判断し選択するところに幸せがある」という考え方です。ただ、始めは共感から入りましたが、研究を通して多くの文献を読んでいく中で、理解できないところも出てきました。そこで、歴史の文脈から、人物を良い面だけでなく、全体像を理解したい、という思いから、研究を志すようになりました。

 

 

Q2. 大学時代に力を入れて取り組んでいたことは何ですか?

 

 旅行、映画鑑賞、フランス語です。大学生協に安い航空チケットが売っていたので、アルバイト代をつぎ込んでヨーロッパやアジアに旅行に行っていました。夏休みに、ツアーではなく自分で計画を立てて2,3週間旅行することもありました。自分で決めて実行する楽しさを感じることができました。映画は頻繁に観ていて、特に外国の映画が多かったです。フランス語は第二外国語として履修しており、はまりました。フランス映画を字幕なしで理解したい、旅行で会話が通じるか試してみたいという思いから空きコマにフランス語の語学学校に通いました。学部には専門課程のゼミ以外に、一般教養課程のゼミがあり、フランス文化を学ぶゼミにも所属していました。私の周囲には映画に詳しい友人が多く、授業の空き時間に映画館に行くと、偶然友人に遭遇したこともあり、懐かしい思い出です。

 

Q3. 将来の夢は何でしたか?また、当時の不安や悩みがあったら教えてください。

 

 幼少期から良い先生方に出会ったことから教師になろうと思い、大学では学部の授業に加えて教職課程をとっていました。政治学科だったので、科目は社会科を選択しました。教職課程の最初の授業で先生から「教員免許は取れても、今は教員の新採用がありません」と聞き、非常に驚きました。もしかして卒業する頃には状況が変わっているかもしれないと思い、教職課程の履修を続けました。ただ、最終的に教員免許を取得することはできたものの、採用状況は変わっていませんでした。就職氷河期で企業の就職活動も難航している人が多かったこと、自分は政治思想史の研究に没頭しつつあったことから大学院に行こうと思い、早稲田大学大学院文学研究科に進学しました。大学院に行った後にはたして就職できるのか、この選択が本当に正しいのかという不安は常にありました。しかし、それ以上に研究が楽しく、調べたいテーマが湧いてくるので、アイデアが尽きない限りは研究を続けるべきだと思い、この道を選びました。

 

Q4. 大学院でのエピソード、現在までの経緯を教えてください。

 

 大学院博士課程のとき、イギリスに留学しました。修士課程の指導教授の「外を見てくるべき」という言葉に背中を押されました。イギリスを選んだ理由は、学部時代の旅行で滞在した際に良い印象だったことと、石橋湛山がジャーナリストだった頃、イギリスの近代思想の影響を受けていたことから、彼に影響を与えた人々を研究したいと思ったからです。それで、留学先のオックスフォード大学大学院では20世紀イギリスの時代状況と同時代の社会思想について調べていました。学部時代にはフランス語が好きでしたが、石橋湛山にはフランスとの接点があまりなく、博士論文のことを考えるとフランスではなく、イギリスに留学した方が良いだろうという選択でした。たとえば研究対象が中江兆民だったらフランスに留学していたかもしれないですね。

 博士論文は『石橋湛山論 言論と行動』(2012年、吉川弘文館)という本として出版しました。大学院を修了後は非常勤でさまざまな大学で教えた後、共立女子大学国際学部に着任しました。

 

 

◎留学時代のエピソードが書かれた過去の記事はこちら

 

Q5. 学生時代にやっておけばよかったことはありますか?

 

 学部時代だけで学生時代が終わっていたら、留学をしておけばよかったと思ったかもしれませんが、大学院で留学できましたし、やり残したと思うことはほとんどありません。東京で学生生活を送っていると、空き時間にいろいろな場所に行けますし、大学院時代も含めて学生時代が長かった分、自由な時間がたくさんあった自分は恵まれていたと思います。

 

Q6. 私たちが学生時代にやっておくべきことはありますか?

 

 人それぞれ得意なことや苦手なことがあり、持ち味が違います。自分が好きなものは何かを考えると、苦労が苦労ではないと感じられるもの、たとえ見返りが得られなくても辛くないものが、本当に好きなもの?ことだと思います。それを見つけるために十分な時間があるのが学生時代です。好きなものを見つけるまでに時間がかかるかもしれませんが、見つけられたら、それに徹底的に打ち込んでほしいです。スポーツ、語学、資格、何かをつくること、音楽…何でもすばらしいです。卒業後は社会人として、自分の好きなものを生かせる仕事に就けたらいちばんいいと思います。

 私の場合、研究が好きで、好きなことを仕事にできたのは幸せでした。楽しいと思えることを将来の仕事に繋げられたらいいですね。

 

Q7. 国際学部の学生にメッセージをお願いします。

 

 私はずっと共学で育ってきて、縁あって共立に就職したので、女子大という環境は新鮮でした。女子大には「シスターフッド」(本来の意味では、姉妹のような、女性同士の連帯を示す概念)の意識があるように感じています。シスターフッドは女性だけのものと思われがちですが、そうではないと私は思っています。男性教職員も含め、女子大には皆の小さな声を聞き取り、コミュニケーションをとろうとする雰囲気があります。このようなふるまいは風通しの良い議論、活動に繋がり、今まで自ら声を上げることができなかった人たちが救われます。女子大で、知らず知らずのうちにシスターフッドを身につけているのが皆さんの強みです。私が思うのは、シスターフッドによって救われるのは、決して女性だけではないということ。小さなコミュニティの中でも、是非、傾聴力をもって仲間とコミュニケーションをとることを実践してください。社会に出たときに、シスターフッドの力はきっと役立ちます。

 

 

 

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