Faculty of International Studies
更新日:2024年06月21日
学生の活動
【国際学部】学生広報委員による先生インタビュー④ ~八十田先生編~
みなさん、こんにちは。学生広報委員の宮地理子です。
国際学部の先生方に「20代前半は何をし、何を考えていたのか」インタビューする企画の第4回は八十田博人先生にインタビューしました。
Q1, 大学時代は何をしていましたか?力を入れて取り組んでいたことを教えてください。
富山県出身で首都圏に出たかったため、筑波大学第一学群(現?人文?文化学群)人文学類に入学しました。中学高校時代からヨーロッパの歴史に興味をもっていたことから史学(西洋史)を専攻しました。これに加えて政治も好きなことから社会学類(社会?国際学群に所属)の科目も履修していました。その他に日本史を学んだこともありましたが、ローマ考古学を専門とするイタリア人の先生の授業を履修したことで、ヨーロッパ史への興味を持ち直しました。
学外では、都内の語学学校でフランス語やイタリア語を習い、外国人の先生から直接学ぶことができた経験は、一生の道具となりました。イタリア史の勉強をしたかったのですが、大学には専門の先生がいなかったため、自分で本を読むようになったところ、イタリア語書店「ラ?フォンテ」の店主?山久さんからイタリア近現代史研究会の存在を教えられました。それは歴史、政治、経済、文学、教育などの分野や大学を越えた研究者たちが九段下のイタリア文化会館に集い、研究報告やディスカッションをするものでした。学生であった私でも受け入れてくれ、月に1回の頻度で通うようになりました。学外の人と関わることができ、本当の「大学」のような場所でした。
大学卒業後は筑波大学大学院修士課程に進学後、新しく出会った若い教授たちの影響で政治学に転向しました。これは学部時代にEC(ヨーロッパ共同体)の授業を受けていたことも関係したと思います。その翌年、イタリアのシエナ外国人学校(現?シエナ外国人大学)に3ヶ月間の語学留学に行ったところ、東欧革命で東ヨーロッパの社会主義体制が次々と崩壊していく現状を目の当たりにし、留学後の帰途に市場統合の最中にあるヨーロッパ各国を9カ国ほど回りました。修士論文は勉強してきたことを組み合わせ、イタリアとECに関する論文を執筆しました。
Q2, 現在の職業に至るまでの経緯を教えてください。
修了後は証券系のシンクタンクである(株)大和総研に入社し、シンガポール、マレーシア、ベトナムの記事執筆や英文ジャーナルを編集していました。しかし、ヨーロッパ研究を諦めきれず研究を進め、学部時代の先生の紹介により日本EC学会(現?日本EU学会)で報告、初の公刊論文として認められました。この出来事によって自分のやりたいことが定まるきっかけとなり、会社を退職、筑波大学大学院博士課程に進学しようと、まず研究生になりました。しかし、友人の勧めもあり、自分の世界を広げるために大学を変え、東京大学大学院総合文化研究科博士前期課程に入学しました。その後、イタリア政府奨学生としてフィレンツェ大学に留学し、日本学術振興会特別研究員を務めました。同大学大学院博士後期課程を満期退学後は予備校?塾講師と大学非常勤講師を掛け持ちしながら学生に教え、大阪大学大学院の特任研究員の後、本学国際学部の専任講師、准教授を経て今に至ります。
Q3, 当時、不安や悩みはありましたか?
経済的な面で生活の不安がありました。アルバイト代を語学学校の月謝や本の購入に費やすべく、アルバイトをたくさんしていたため、学業に遅れが生じることもありました。何かを得るために何かを犠牲にしたり、優先順位を考えたりしなければいけませんでしたが、自分で選んだ道だったので、やりがいはありました。
Q4, 学生時代にやっておけばよかったことはありますか?
ドイツ語やラテン語、ギリシャ語といった言語は学修の中で触れましたが、身につかず、もう少し貪欲に勉強したかったです。また、今までの過程でこれほど右往左往しなくても良かったのではないかと思います。しかし迷っても地道に勉強し、常に何かに取り組んでいたことや、世の中のアクティブなトレンドに惹かれて、その場に自分の身を置いていた経験は自身の基盤となりました。
Q5, 学生時代にやっておくべきことは何ですか?
出会いのある場所に行くことです。東京には多くの文化施設があり、その道に精通している人、関心がある人等が集い、そこで新しい発見が得られます。学生という立場は許される存在なので、狭い場所に閉じこもることなく、トライしてください。自分をPRし続けることが能力の開発に繋がります。
また卒業論文をしっかり書くことは大事で、社会人になっても活きていきます。地道に自分のテーマに関する文献を探し、網羅的に読むことでオリジナリティのある論文になります。様々な文献から何が正しいか、必要かを取捨選択し、問題の核を見つけることは今後のビジネスにも役立つスキルです。
Q6, 国際学部の学生に向けてメッセージをお願いします。
本気で世界と向き合ってほしいです。本で得た知識と現地の実情が異なることがあります。現地に行って人と出会い、知識と経験を総合することで物事の本質が見えてきます。興味を感じた問題に対して、真剣に考え、下調べを入念に行うことは欠かせません。そのために自分の中で好きだ、楽しいと思えるこだわりを持ちましょう。探究において、学びは手段です。私は知りたいことは学年やレベルに関係なく、あらゆる本を読みました。培ってきたことは無駄ではなく、間違ってもいいので、自分の素の部分を惜しみなく放出することが大切です。自分の能力とぶつかって、世界と向き合ってみてください。
今回のインタビューを通して、挑戦は興味と関心の幅を広げ、新たな出会いを生むということを学びました。現代ではインターネットを通して非常に多くの情報を手に入れたり、オンラインで人と繋がったりすることができます。その一方で情報の膨大さ、アクセスの容易さ故にリテラシーが求められます。文献を探したり自らの足で現地を訪れて話を聞いたりすることは、スマートフォンやパソコンの画面内から飛び出して研究課題と身をもって向き合う時間になるでしょう。自分の能力を見えない枠内に収めてしまうのではなく、手段を駆使して知識のキャパシティを増やすべきだと思いました。今後は4年間積み重ねてきた学修を活かして丁寧に卒業論文の執筆に取り組むだけでなく、人との出会いを大切にしながら能動的に物事に取り組んでいきたいです。
国際学部4年 宮地理子
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