Faculty of International Studies
更新日:2017年06月14日
【国際学部】1年生向け基礎ゼミナールで学外研修を行いました(第三グループ)
これまで2つのグループについて紹介してきた学外研修も、最後のグループとなりました。今回は、美術館や博物館、映画館に加え、JICAの施設や井の頭公園などを舞台として、興味深い研修が行われました。こうした学外での学びをぜひ学内での学びの刺激にしてもらえればと思います。
ゴールデンウィークの間の爽やかな初夏の午後、私たちの基礎ゼミは、竹橋の国立近代美術館に行きました。日本の近代?現代の美術が系統的に鑑賞できるので「常設展の中からなにか好きな絵を見つけて、1週間でレポートを書くこと。あとは自由にしなさい」と言いました。
お昼過ぎに美術館の入り口に集合した時に「美術館は初めて」という学生がとても多くて少し驚きました。共立女子大学はキャンパスメイトという制度に入っているので、いくつかの美術館は学生証を見せるだけで入館できます。大学のキャンパスから徒歩5分の国立近代美術館もそのひとつです。「在学中はぜひ利用しましょう。楽しいから」と勧めました。美しい場所なので、ちょっと疲れた時に立ち寄ると気持ちが変わります。
この美術館を学外オリエンテーションの場所に選んだのは、明治、大正、昭和の日本の歴史を感じて欲しかったからでもあります。基礎ゼミでは、共立女子学園の歴史を取り上げますが、その前提として日本の近代史を芸術を通して体感して欲しかったのです。
今回の研修で学生の何人かが印象の強かった絵として挙げたのは、藤田嗣治の「アッツ島玉砕」でした。4年前にも基礎ゼミで竹橋を訪れたのですが、その時には学生たちは昭和の初めのモダンで平和なものを好んでいました。展示の方法の変化もあるでしょうし、世の中の変化もあるのかもしれません。今回は私も、藤田嗣治に強い印象を受けました。
その後、日を変えて、ゼミで集まって学内でピザパーティーをしました。賑やかな楽しい懇親会になりました。
?辻山ゼミの写真? ピザパーティーで楽しいひと時を過ごしました
5月19日に基礎ゼミ(木戸クラス)で、学外研修として、六本木の新国立美術館で開催中の「ミュシャ展」の見学をしました。金曜日は8時まで開館しているのが、授業が目いっぱい詰まっている一年生には有り難く、美術館集合は5時20分。全員集合でミュシャの描いた渾身の「スラブ叙事詩」の連作をゆっくり鑑賞しました。それぞれ390X490cmという大きさに圧倒されつつ、そこで表現されている内容にだんだん引き込まれていくようでした。その後のゼミの授業で、各自の関心に従って作品を選びパワーポイントで報告をしました。両大戦間期のナショナリズムとミュシャの祖国愛について、色彩の問題、あるいはフスなどの宗教改革の問題、スメタナの『わが祖国』などの音楽との比較など、それぞれの関心からの展開が大変素晴らしく、ゼミのディスカッションの内容も深まりました。それを踏まえて各自2000字ほどのレポートにまとめ、さらにそれを口頭発表してレポートの書き方の授業へと進めているところです。
?木戸ゼミの写真? ミュシャのスラブへの想いにふれて
JICA地球ひろばの常設展示を「体験シート」を使いながら、見学、学習しました。
国際学部の学生として、発展途上国や世界が抱える諸問題について理解を深めることができました。
また、ちょうど2015年から始まった国際連合のSDGs(持続可能な開発目標)についての展示も行われており、2000年以降の国際連合のMDGs(ミレニアム開発目標)の成果や新たなSDGsによる開発援助についても考察することができました。
神田ゼミは両国国技館の隣にある江戸東京博物館の常設展示室を見学しました。常設展示室は2015年のリニューアル後、実物の資料だけでなく、原寸大に再現した模型や精巧なジオラマが展示され、実際に触ってみるなど体験型の展示になっています。
学生たちはワークシートを片手に江戸ゾーンでは棟割長屋の間取りを見たり、大名駕籠に乗ってみたり、棒手振りの天秤棒をかついだりと江戸時代を体験し、東京ゾーンでは東京大空襲の遺品を見たり、1960年代の団地のダイニングキッチンをのぞいたりとそれぞれの時代を少しだけ実感できたようでした。ちなみに彼女たちが実際に知っていたのは2000年代初めのルーズソックスだけだったようです。
1時間30分という時間は丁寧に見るには足りなかったと思いますが、何かしら印象に残るものがあれば、それが豊かな学習につながっていくのではと思っています。
現在国営?都営の公園の民間活力を生かしての活用が広がっています。
例えば、駒沢公園では、世田谷区にある緑豊かな公園という立地を活かして、民間企業が世田谷区育ちの野菜などを提供するMr.Farmerというカフェを開業し、話題を集めています。
この公園の民間活力活用にヒントを得て、今回基礎ゼミナールでは、「井の頭恩賜公園で自分が起こすビジネスを提案」というテーマの下、それぞれが井の頭恩賜公園の既存の施設や場所を使い、自分ならどんなビジネスを始めるかという提案をすることにしました。
この学外研修を行う前に、事前に井の頭公園の施設や環境を情報を集め、集めた情報を基に、自分が行いたいビジネスを決定しました。皆が提案したビジネスは、水上カフェや、キャンプ場、スポーツセンターや保育園など多様な個性に合わせて多岐に渡るものでした。
そして、この提案を基に、学外研修では実際に現地を視察し、自分のビジネスの計画を練り直したり、新たな要素を追加したりして自分のビジネス計画をより具体的で実現可能なものにすることを行いました。後日、自分の起こすビジネスを提案するレポートを提出してもらう予定ですが、今からどんなビジネスを提案してくれるのか楽しみです。
?西村めぐみゼミの写真? 緑豊かな井の頭公園にて
李ゼミは、5月23日19時、岩波ホールで日本で初めてのチベット人監督による中国映画『草原の河』を鑑賞しました。海抜3,000メートルを超えるチベット高原で厳しい自然の中で牧畜を営む一家を主人公にした物語です。映画は改革開放以後の中国の現状を背景として、三世帯のジェネレーションギャップを手掛かりに、東洋文化の気風における父と息子、そして父と娘の、言葉では表現しがたい複雑な関係を描いた感動作でした。
提出された感想文には、「日本に住んでいる私たちには全く見ることのない美しい草原の景色に感動した」、「チベット映画を観賞するのは初めての体験だった。2時間の間だけでも、映画を通してチベット人の暮らしや文化についてよく学ぶことができた」、「大自然や静けさに心を惹かれ、よりチベットに興味が湧いた」などと書かれています。
チベットを舞台とした映画鑑賞は学生たちにとっては初めての経験であり、チベット文化をもっと知りたくなるきっかけになったのではと思います。
?李ゼミの写真? チベットの人々の暮らしや文化にふれて