更新日:2021年04月30日
研究紹介
大倉集古館の委託研究として江戸時代能装束を修復しました。
公益財団法人大倉文化財団の運営する大倉集古館(東京都港区)は、大正6年(1917年)に設立された日本で最初私立の美術館で、多数の能装束を所蔵しています。今回は江戸時代制作「紫地棕梠模様長絹」「紫地花入菱模様長絹」を被服平面造形研究室(田中 淑江 教授)が修復を行いました。作品は長年の保存の影響や経年劣化(時間を経て自然に損傷が生じること)による、折皺や縫い目の解け、穴などが生じていました。このままでは安全に展示することができないため、折皺は伸ばし、縫い目の解けは、新たな糸で縫い合わせ、穴は修復のための布を作品の裏側からあて、ステッチで留める作業を行いました。修復後の作品は安全に扱うことができ、美術館での展示が可能となりました。被服学科では、染織文化財の修復に関する研究を通し、伝統文化の継承に取り組んでいます。
紫地棕梠模様長絹 | |
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修復後(正面) | 修復後(背面) |
衿の修復 | |
修復前 | 修復後 |
裾の折れを修復 | |
修復前 | 修復後 |
肩山の穴を修復 | |
修復前 | 修復後 |
紫地花入菱模様長絹 | |
修復後(正面) | 修復後(背面) |
模様のずれを修復 | |
修復前 | 修復後 |
折れて縫われていた箇所を修復 | |
修復前 | 修復後 |
修復の様子 | 手元の様子 |