更新日:2016年04月10日
文化専修
受験生へのメッセージ(堀 新)
織豊政権 王権論 近世武家官位 藩政史
小学生の頃に父親から歴史の本を薦められ、NHKの大河ドラマを見て以来、生活のなかにいつも「歴史」があります。そして史学科に入学し、卒業論文で織田信長を取り上げて以来、ずっと信長が研究テーマの中心です。少し前に、「織田政権論」という論文を『岩波講座日本歴史』に書きました。
また、約10年前に仲間と「豊臣秀吉関係文書研究会」を結成し、全国各地の豊臣関係文書を調査し、その成果をまとめて『豊臣政権の正体』等の論文集を刊行しました。さらには、大学院生の頃に立ち上げた「岡山藩研究会」でも20年以上活動しています。
最近は、ある有名な戦国武将の御子孫の方と対談させていただきました。
これは滅多にない機会で、本当に貴重な経験でした。これからも、研究を通じていろいろな出会いがあると思って楽しみにしています。いろいろな学生たちとの出会いも楽しみです。
ところで大学受験までの日本史は、どうしても暗記中心になりがちです。同じような名前や事件をただ覚えるだけなんてイヤ!という受験生も多いでしょう。しかし、大学入学後は、もう暗記する必要はありません。なぜこの事件がおこったのか、なぜこの人物はこのような行動をしたのか、それを考えるのが大学で学ぶ日本史です。これは、さまざまな資料から歴史を掘り下げていくダイナミックな研究の世界です。
文芸学部で学ぶ日本史は、史学科とは少し違います。史学科では、史実を正確にとらえるために史料読解を徹底的にやります。これはとても重要ですが、基礎なので辛く苦しいトレーニングになります。4年間がその基礎トレーニングで終わってしまうこともあるでしょう。そのため、確定した史実から歴史をとらえ直したり、論理化するような、歴史で一番面白い部分を堪能することなく卒業してしまうこともあるでしょう。僕自身がそうでした。卒論を書き終わった頃、「もう少し歴史を勉強したい」と痛切に思ったものです。
そこで文芸学部では、基礎トレーニングに多くの授業時間を割けない事情もありますが、考えることを中心に歴史を学んでいくことになります。1年生の文芸ゼミ「答えは一つじゃない~大学で日本史を学ぶ~」を始め、さまざまな資料や確定された史実をベースに、学生といろいろ歴史を掘り下げて考えていく、そんな授業を心懸けています。