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130th ANNIV. SPECIAL WEB MAGAZINE Advance! キャリア形成と自立志向を「ジブンゴト化」するウェブマガジン

vol.14

卒業生の社長にインタビュー!

共立社長のオキテとホンネ

「昨日より今日、今日より明日。“ご機嫌”を保つ秘訣は、日々少しでも前進しようという気持ち」/倉本由布さん

2018.06.14

高校在学中にコバルトノベル大賞に入選し、大学卒業後は、個人事業主としてフリーで作家活動をされている倉本由布さん。

ピュアな恋の物語をあたたかい文章で描く倉本さんの小説は、多くの女性に愛されています。常に学ぶ心を忘れずに、向上心を持って創作活動を続ける倉本さんに、人生を前向きに楽しむヒントを教えていただきました。

小説家

倉本由布さん

共立女子大学文芸学部卒業。浜松市立高等学校在学中『サマーグリーン/夏の終わりに…』が第3回コバルトノベル大賞に佳作入選。当時史上最年少の16歳で、受賞を果たした。その後、雑誌『Cobalt』にて作家活動をスタート。高校3年生の時『恋は風いろ 不思議いろ』(コバルト文庫)を出版する。初期は、中高生を主人公とした恋愛主体の作品を多く執筆していたが、近年では日本史上の人物を題材とした作品を多く執筆。最新刊は『むすめ髪結い夢暦』シリーズ2冊目となる『迷い子の櫛』(集英社文庫)。

回し読み用に書いた小説が賞に入選
大学時代は、年4冊のペースで出版!

――小学生の頃から、自由帳に『小人のお話』などの物語を書いていた倉本さん。才能の片鱗を見せたのは、中学2年生の時。当時夢中で読んでいた少女漫画を自分でも書きたくなり、恋愛小説を書いたところ、同級生の間で大人気に。
 
「いつの間にか、友達の間で回し読みされていました。拙い文章だったと思うのですが、みんな面白がってくれて。 感想ノートを作ってくれたり、学校を歩いていると『続きは、まだ?』と声をかけてくれたり。気がつけば、連載状態でしたね(笑)」
 
――小説家への道が開いたのは、高校に進学してから。(回し読み用に)書き溜めた作品を賞へ応募したところ、1作目で佳作に入選したというから驚きです。
 
「腕試しのつもりで応募したのですが、入選した事で “これからも書き続けたい”という欲が出てきて。子供の浅知恵で、依頼もされていないのに小説を書いては、担当の編集者に送りつけていました。それらの作品は一切活字にならなかったけれど、気持ちの部分を評価してもらえたのかな。高校3年生の時に、初の著書を出版することが出来ました。ただ、受験勉強と並行して書いていたので、当時の睡眠時間は3、4時間。若さを武器に、突っ走っていましたね」
 
――大学入学後は、少女小説ブームという時代にも押され、年4冊のペースで本を出版していた倉本さん。受験勉強から解放されてもなお、睡眠不足は続きます(笑)。
 
「授業が終わったら、家に帰って夜中まで書いていましたね。共立の同級生と同じマンションに住んでいたのですが、彼女に清書を手伝ってもらい、締め切り前は徹夜で執筆することも。空が白み、朝日が上ってくるとマンションの屋上に上がり、二人で朝焼けを見ながらおしゃべり。青い空と入り混じって、何とも言えない美しさで……。今も自分を支える思い出のひとつですね」

恋愛小説から歴史を扱った作品へ
大きな挑戦が、作家人生を切り開く

――卒業後は地元の浜松へ戻り、専業作家へ。大きな転機を迎えたのは、卒業して2、3年が経った頃でした。
 
「年齢を重ねるうちに、“このまま少女向けの恋愛小説だけ書いてていいのかな”と迷いが生じてきたんです。学生時代から日本史に興味があり、いつか大好きな大姫(源頼朝、北条政子の長女)の物語を書きたいと思っていたのですが、資料自体が少なく、当時はインターネットも普及していない時代。本屋を回って自力で探すしかなかったのですが、手に入らなくて。そんな時、たまたま立ち寄った古本屋で探し続けていた本を見つけて! これはもう運命だと思いましたね。何かに導かれるように、一心に書き上げました」
 
――そうして書き上げた『夢鏡 義高と大姫のものがたり』は、何度も増刷されるヒット作へ。今でこそ、「倉本さんといえば、歴史物」と言われていますが、<大姫との出会い>が作家として新境地へ導いてくれたと言います。
 
「新たな武器を手にしたものの、2作目が本当の勝負でした。“前回を越えるものを書きたい”というプレッシャーもありましたし、自分の中で読者の好みを勝手に特定してしまい、結局何を書いたらいいか分からなくなってしまって……。心を削りながら書いたのですが、ありがたいことに、好きだと言ってくださる方が多くて。やはり読者に喜んでもらえることが、作家として何より嬉しいですね」
 
――作家にスランプはつきもの、と言われますが、倉本さんはなるべくスランプに陥らないよう、あることを心がけています。
 
「アウトプットばかり続けていたら、オーバヒートして書けなくなってしまう。あの地獄は極力味わいたくないので(苦笑)、日頃からアウトプットとインプットのメリハリをつけるよう、心がけています。散歩したり、お花を鑑賞したり、人と会っておしゃべりをしたり。どこに、アイデアやひらめきが転がっているか分からないですから。“宝探しゲーム” だと思って、自らの世界を広げるようにしています」

▲倉本さんの著書。『天使のカノン』 は特にファンが多く、「嫁ぎ先に持っていった」「娘にカノンと名付けた!」など嬉しい声をいただくそう

自立している女性は、芯があり、“余白”がある人

▲撮影は、倉本さんの地元?静岡県浜松で行いました。恥ずかしがりながらも、目を細めてにっこり?


――「共立の授業で、印象に残っているものはありますか?」と聞くと、複雑そうな顔。どうやら苦い思い出があるようで……。
 
「日本史の授業を受けていたのですが、1限目だったのでサボってしまって。その教授は、今でも歴史の資料でお名前を拝見する方。時代小説を書く者として、なんて貴重な機会を放り投げてしまったんだろう、と後悔しています。だからこそ自戒の念を込めて言いたいのですが……。在学中は“何の役に立つの?”と思っていても、真面目に学んでいれば、のちの人生で思わぬところで関わって、あなたを救ってくれるはず。せっかく学びの場にいるんですもの、たくさんのことを見て、触れて、知の世界を広げていって欲しいですね」
 
――最後に、倉本さんが思う自立している女性とは?
 
「芯があり、“余白”のある女性でしょうか。譲れない部分を持ちながらも、自分の考えに固執するのではなく、他人の意見を柔軟に聞け入れる、強く、柔らかい人でありたいですね」
 
――インタビュー中、終始笑顔の倉本さん。なぜ、そんなにご機嫌なのでしょうか?
 
「気持ちがすべての“起点”だと思っています。物事を肯定的に捉え、楽観的であろうとし、成長しようとする心を忘れない。合言葉は“昨日より今日、今日より明日”。日々少しでもいいから前進という気持ちで、生きていけたらいいなと思っています」
 
――倉本さんのお話は、前向きに人生を過ごすためのヒントが満載。貴重なお話、ありがとうございました!

倉本さんの1日スケジュール

多忙を極める小説家は、どんな1日を過ごしているの? そこには、効率よく働くヒントが隠されていました!

世間が寝静まった深夜の方が集中出来るため、執筆は同居しているお母様が就寝されてから。早めに夕食をとり、仮眠をとった後に机に向かいます。締切り前などは、明け方まで執筆することも多いため、起床はやや遅め(笑)。日中は、小説用の資料本を読んだり、散歩しながら季節の花を眺めたり、友人とお茶をしたり……。感性を磨いたり、知識を得る、インプットの時間と決めています。

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