更新日:2024年04月10日
研究紹介
【文芸学部】2024年 電子情報通信学会 総合大会にて、谷田貝ゼミの学部3年生1名と学部4年生2名が学会発表を行いました
下記の学会にて、発表原稿の事前採択後、4年生の卒業研究および3年生の卒業研究計画に関する研究発表3件を行ってまいりました。いずれの発表も理工学とは違い文芸学の視座に立つ斬新な内容で大いに注目されました。
【学会名】 電子情報通信学会(https://www.ieice.org/eng_r/index.html)
【大会名】 2024年 電子情報通信学会 総合大会 - コミュニケーションが育む絆 -(https://www.ieice.org/jpn_r/activities/taikai/general/2024/)
【開催場所】 広島大学 東広島キャンパス(東広島市)
【開催日】 2024年3月4日(月)~8日(金)
メディア領域文芸メディア専修 4年 谷田貝ゼミ所属
野村 澄礼 さん
タイトル:中等教育美術科における画像生成AIを活用した絵画制作教授法の開発と評価~画像生成AI による「心の自画像」制作授業~
連名著者:野村澄礼1、卯木輝彦2、永岡慶三3、米谷雄介4、谷田貝雅典1 (1.共立女子大, 2.関西外語大, 3.早大, 4.香川大)
掲載誌:2024年電子情報通信学会総合大会予稿集
掲載ページ:D-15-15/p.1234
発表概要: 野村さんの研究は、中等教育美術科における自画像(油画)製作授業において、カンバスや筆の代わりに最新の画像生成AIを画材とし「心の自画像」を制作するという新たな授業を設計し、その教育効果を明らかにしようとするものです。研究では、生成AI抽象自画像制作の指導案、学習ワークシート(作品コンセプト、プロンプト記録、学習者相互鑑賞)、教授者評価ルーブリックを設計し、多変量解析により精緻に教育効果の分析と評価を行いました。発表に対する質疑応答では、どのように教授者評価を行ったのか、油画による「心の自画像」制作の先行研究はどのようなものなのか等、大変多くの質問があり本研究への注目度の高さがうかがえました。特に、美術大学の先生に聴講いただき、本研究で実施した授業内容について称賛のコメントを賜れたことは、野村さんにとって大いに誇らしく思えたことと思います。
メディア領域文芸メディア専修 3年 谷田貝ゼミ所属
熊倉 珠琴 さん
タイトル:一側性難聴者向け運転時聴覚方向補装具の開発計画~
連名著者:熊倉珠琴1、卯木輝彦2、永岡慶三3、米谷雄介4、谷田貝雅典1 (1.共立女子大, 2.関西外語大, 3.早大, 4.香川大)
掲載誌:2024年電子情報通信学会総合大会予稿集
掲載ページ:D-15-23/p.1242
発表概要:熊倉さんの研究は、片方の耳の音が全く聞こえない「一側性難聴」の方が、音がどこから来ているのかわからないという現状を助けるためのシステムを開発するものです。本発表では自動車の運転中に緊急車両のサイレン等がどこからなっているのかその方向を素早くドライバーに知らせるシステム提案をするものですが、半年前にも路上を歩行する際に周囲の音源方向を知らせるアクセサリータイプの同装置の提案も行っております。多様なアイディアを次々と考えてくれる熊倉さんの研究は、3名の学生の中では最も電子工学的研究でしたが、開発計画のシステムデザインはさることながら「一側性難聴者のお守りを目指す」としたとても情緒的で文芸学らしい視点も披露し、聴衆の方々より大いに感心されていました。また、会場の方々の中には「一側性難聴」のことをあまり知らない方もおり、熊倉さんの発表により、今後、多くの研究が開始されるきっかけにもなることと思いました。
メディア領域文芸メディア専修 4年 谷田貝ゼミ所属
冨田 萌依子 さん
タイトル:VR および2D 動画による猫映像と「猫のゴロゴロ音」から得られるリラックス効果の検証
連名著者:冨田萌依子1、卯木輝彦2、永岡慶三3、米谷雄介4、谷田貝雅典1 (1.共立女子大, 2.関西外語大, 3.早大, 4.香川大)
掲載誌:2024年電子情報通信学会総合大会予稿集
掲載ページ:D-15-29/p.1499
発表概要:冨田さんの研究は、大変ユニークな視点で「猫のゴロゴロ音」が聞こえるタブレット動画と、ヘッドマウントディスプレイを付けるVR動画の双方の視聴により、どれだけリラックス効果が得られるのかを比較調査するものです。本研究に先立ち、生理学系研究を調査し猫とのふれあいでオキシトシン濃度が上昇すること、心理学および情報処理学系研究を調査し「猫のゴロゴロ音」の視聴に関するリラックス効果について明確にしており、丁寧な先行研究調査を論拠とし、研究では客観評価として心拍数の測定、主観評価として質問紙調査を行い、これらのデータを多変量解析により丁寧に分析評価しておりました。なお、冨田さんの研究は、その内容や結果はもとより、研究方法として「猫に負担をかけない」という前提を明確にしており、質疑応答における「実際の猫にふれたほうが効果的では」との質問に、猫がどのような時にゴロゴロ音を発するのか、また、猫は多くの見知らぬ人との接触は大きなストレスになることなどを丁寧に説明しており、動物実験の在り方について一石を投じる優れた発言をしておりました。
最後に、以上3名の研究発表に当たり、それぞれ連名者となってくださった先生方には原稿執筆から発表練習まで大変お世話になりました。特に関西外国語大学教授の卯木先生、早稲田大学名誉教授の永岡先生におかれましては、発表前日に夜分までご丁寧なご指導を賜り、発表当日に会場にて温かく見守っていただきました。ご指導いただいた皆様に深く感謝いたします。また以上3件の研究は科学研究費補助金基盤研究 (C)の助成を受けて行ったものです。