更新日:2022年01月12日
授業紹介
【文芸学部】十二単の着装見学を行いました。
12月23日(木)に日本文学演習ⅠBの授業の一環として、十二単の着装の実演及び講義を行ないました。
ハクビ京都きもの学院の乃村宣子院長を講師としてお招きし、着装の仕方、作法や襲の色目などについて話をしていただきました。
十二単は「紅の匂ひ(萌黄の単、紅の袿)」、直衣は「桜襲(表白、裏赤)」という襲の色目(かさねのいろめ)の衣装でした。
色味も輝きも刺繍も衣の質感もすばらしく、見応えがあり、平安時代の王朝人の姿の再現に出席者一同見惚れました。
写真は上段左から順に
1,小袖?袴 2、袿(五衣を重ねてゆく)
3、直衣?十二単(それぞれ檜扇を持つ)
4、直衣?十二単(横から) 5、唐衣?裳(後ろ姿)
以下、参加者の感想です(モデルは、本学学生です)。
?厳格な趣に身が引き締まる思いがしました。鮮やかで美しい衣装を間近で見て、着るという貴重な体験ができてよかったです。
?直衣の襲によって、真っ白だった衣装が桜色に見えるという変化も知ることができました。
?一枚一枚、とてもきれいで、色が段々濃くなっていくのがすごいなと思いました。すべてを着ると15キロもあると聞いて、
動かないとはいえ、姫君たちがずっと着ていられるのはすごいと思いました。
?いつも授業などで想像していた平安時代の人が、目の前にいるような不思議な気持ちになりました。
着せる人の着せ方などにもルールがあり、大変そうだと感じました。
?淡い色から濃い色になってゆく色の変化を袖口に見ることができて、とてもはなやかだと感じた。
?打衣の紫色が植物のムラサキシキブにも似ていて、また単にも、重なって見えなくなる部分にも光の当たり具合に応じて
ひかる模様があるのが本当にきれいでした。
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この授業では『枕草子』を読んでいます。衣装描写は様々な部分に出てきますが、
「返る年の二月二十余日」(79段)には、「桜の綾の直衣」を着た藤原斉信が、
「絵にかき、物語のめでたき事に言ひたる」かのようなすばらしい男ぶりであったと描かれています。
十二単は別名、唐衣裳(からぎぬも)装束というように、袿?表着の上に、
「唐衣」と「裳」が、女性の正装として重要なポイントとなるわけですが、
「淑景舎、東宮にまゐりたまふほどのことなど」(100段)に登場する定子の母親が、母であるにも関わらず
娘達の前で「裳」をつける振る舞いに、中宮となった定子や東宮妃となる定子妹(淑景舎)への敬意を読み取ることができます。
文学作品を「衣装」から読むのも、作品を読む楽しみ方のひとつです。